初診日:2021年10月19日
CASE HISTORY
50歳男性.
数年前から健康診断で「心臓が大きい」「不整脈が出ている」といわれていた.
しかし,仕事が忙しく,病院の受診はせず.
1ヶ月くらい前から動いた時に息が上がりやすくなった.
「年のせいかな?」と思い,筋トレを始めた.
しかし,症状はどんどん悪化.
同時に,足がむくみ,体重がだんだんと増えてきていることに気づいた.
息切れがひどく,仕事もままらなくなったため,近くのクリニックを受診.
すると,「すぐに大きな病院に行った方がいい」と言われ,転院搬送となった.
※フィクションです.
CASE SUMMURY
僧帽弁閉鎖不全症(重症):渦巻く流水模様
心臓の中には,逆流を防止するための弁があります.
弁の機能に異常がある状態を弁膜症と言います.
この症例では,僧帽弁という名前の弁がうまく閉じなくなっています.
「僧帽弁閉鎖不全症」という名前の弁膜症です.
しっかり弁が閉じないことで,血液が逆流してしまいます.
逆流によってできる乱流を,渦の流水模様が表現しています.
正常な心筋:和金
和金は,金魚すくいでも定番の品種であり,最もなじみのある金魚の品種です.
特に異常のない心筋を表現しています.
冠動脈(心臓の血管)に狭いところはない:綺麗に咲く梅の木
心臓を栄養する血管(冠動脈)に,狭い部分や閉塞している部分はありません.
梅の木が綺麗に咲いています.
収縮力は正常:七宝つなぎ文様の満月
心臓はポンプの臓器です.
"ギュッと"縮こまる力(収縮力)は,心不全の予後や治療法に影響を与えます.
七宝つなぎには「永遠に続く調和」という意味があり,収縮力が保たれていることを示しています.
収縮力が正常な心不全は,予後がいい(寿命を短くしにくい)とされます.
心房細動:曇天(赤)
心房細動は,不整脈の一種です.
心房と呼ばれる心臓の上部にある部屋が小刻みに痙攣しています.
大きく分けて3つの弊害があります.
- 脈がとても速くなる(頻脈)
- 心臓が疲れて脈が遅くなる(徐脈)
- 心臓に血栓ができる ⇒脳梗塞のリスク
このように,さまざまなリスクをはらむ心房細動を,赤く不気味な雲が表現します.
Point
重症の僧帽弁閉鎖不全症(弁膜症)に心房細動(不整脈)を合併した心不全.
TREATMENT RECORD
Dr_Keiが診察,検査を行うと,うっ血性心不全となっていることがわかった.
Dr_Keiは入院が必要と判断し,利尿薬での治療を開始した.
-to be continued...