初診日:※年※月※日
CASE HISTORY
79歳男性.
20年前に拡張型心筋症と診断され,当院を通院していた.
心不全による入院は何度も経験していたが,昨今,入院の頻度が増えてきた.
直近では1カ月前に退院したばかりであった.
1週間ほど前から足のむくみと体重増加があり,数日前から動いた時の息切れが目立つようになった.
いつもの心不全症状であり,本日予約外で受診となった.
※フィクションです.
≫参考Case:拡張型心筋症「CryptoHeartFailure #3」
CASE SUMMURY
拡張型心筋症:コメット
この金魚はコメットという名前です.
コメットは,彗星(すいせい)という意味.
スラっとした細身の体型に,白く長い尾ヒレで水中を泳ぐ様子が,彗星を連想させたためです.
拡張型心筋症は,心臓の収縮力(縮こまる力)が弱くなっていく病気.
心臓の筋肉(心筋)が徐々に変化し,心臓の壁が痩せて薄くなってしまう,心筋自体のトラブルです.
か細くなっていく心筋と,細身のコメットのイメージをかさね合わせました.
収縮力が高度に低下している:向い蝶文様の新月
心臓はポンプの臓器です."ギュッと"縮こまる力(収縮力)は,心不全の予後や治療法に影響を与えます.
蝶の文様は,「転生」や「死」を連想させる少し不吉な文様です.
さらに,消え入りそうな薄い配色は,新月を表現しています.
今回の症例は,拡張型心筋症の進行により心収縮力が極めて高度に低下しています.
ゆえに,満月の対極にある新月をモチーフにしつつ,デザインは向い蝶文様としました.
月日をかけて進行した心不全であり,死を連想させる重症度ですが,不死"蝶"のように起死回生となる治療を模索せねばなりません.
そんな状況を,向い蝶文様の新月が表してくれています.
僧帽弁閉鎖不全症(重症):渦巻く流水模様
心臓の中には,逆流を防止するための弁があります.
弁の機能に異常がある状態を弁膜症と言います.
この症例では,僧帽弁という名前の弁がうまく閉じなくなっています.
「僧帽弁閉鎖不全症」という名前の弁膜症です.
しっかり弁が閉じないことで,血液が逆流してしまいます.
逆流によってできる乱流を,渦の流水模様が表現しています.
今回の症例では,拡張型心筋症による著明な心拡大・心収縮力低下の影響で,僧帽弁が閉まらなくなってしまっています.
冠動脈(心臓の血管)に狭いところはない:綺麗に咲く梅の木
心臓を栄養する血管(冠動脈)に,狭い部分や閉塞している部分はありません.
梅の木が綺麗に咲いています.
洞調律(正常なリズム):晴天
心臓は,リズミカルに鼓動を打ちます.
規則正く適切な速度のリズムを打つのが,正常な心臓です.
洞調律とは,"洞結節"という心臓の発電所が指揮をする調律(リズム).
洞結節は,心臓公認の指揮者です.
洞結節が指示する洞調律は,正常なリズムということです.
Point
拡張型心筋症の進行によって入院が繰り返される超重症心不全.
TREATMENT RECORD
(救急搬送中...)